博士号取得者3人に聞く、事業と研究の好循環を生み出すには?
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博士号取得者3人に聞く、事業と研究の好循環を生み出すには?

ACES

こんにちは、ACESの久野(@nokuuun)です。ここでは、ACESのメンバーの”声”を伝えるPodcast『Voice of ACES』の第7回目の内容をお伝えします。今回はめでたく博士号を取得した3人に、
・研究と事業を並行して行うことの難しさや苦労
・研究と事業、2足のわらじだからこその相乗効果 

について話を聞いていきます。

※ より深くACESの技術や開発、働き方について知りたい方は、 3月9日に実施予定のオンラインmeet upにお申し込みください↓

■プロフィール
田村:代表取締役。東京大学大学院工学系研究科 松尾研究室にて深層学習×金融工学の研究を行い、2022年3月に博士号取得予定。
中川:取締役。東京大学大学院工学系研究科 松尾研究室にて深層学習を用いたアダプティブラーニングの研究を行い、2022年3月に博士号取得予定。
小林:アルゴリズムエンジニア。東京大学大学院新領域創成科学研究科にて歪みセンサを活用した構造物のモニタリングを研究し、2022年3月に博士号取得予定。
(※ 2022年2月時点)

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久野「今回はACESで働きながら博士号を取得した3人をお呼びし、ここまでの苦労や、研究と事業を両立する工夫などを聞いていきたいと思います。では、ひとことずつ自己紹介がてら取り組んでた研究を教えて下さい。」

田村「代表取締役の田村です。博士課程では、ざっくりいうと金融工学×AIの分野で研究をしていました。今までの金融経済学における理論や予測の方法の中には、人の認知処理能力の限界があったために検証できなかった部分があるのですが、Deep Learningを用いることでどのように金融工学にアプローチできるかを研究していました」

中川「共同創業者で取締役の中川です。田村と同じく東京大学大学院工学系研究科の松尾研に在籍しており、教育×Deep Learningの領域で研究しています。オンライン教育サービスのデータを用いて、人がどのように勉強すれば効率的に学習できるか、個人に最適化した学びを提供するにはどうすればいいか、といった問に取り組んでいました」

小林「アルゴリズムエンジニアで、東京大学大学院新領域創成科学研究科の博士3年の小林です。私は二人とは違って、Deep Learningとはあまり関係の無いテーマなのですが、歪みセンサを活用した構造物のモニタリングを研究しています。構造物にどういう歪みが発生しているかをセンサーで計測し、計測した情報を用いて構造物の状態を同定しています」

久野「改めて時系列を改めて整理したいのですが、ACES起業したのは2人が何年生のときですか?」

中川「えーっと、、修士2年……でしたっけ?(記憶が……)」

田村「いや、修士1年ですね。笑」

久野「笑。創業当時はどんな事業だったんですか?」

田村「AIで漫画の翻訳の事業でした。人工知能学会に参加した際、宿泊先で共同創業者の與島と『漫画をAIで翻訳して世界中の人に届けられたらいいよね』という話をしたのが始まりです」

中川「そもそも最初は『起業するぞ!』と意気込んでたというよりも、面白くて価値のあるテーマをDeep Learningで解くためのプロジェクトチームをみんなで発足した、というのが近かったです。進めていくうちに、自然と会社という形になっていきました」

久野「その後紆余曲折あって、リアル産業のデジタル化を事業の軸にするようになったと思いますが、実際に売上が立ったのはいつ頃ですか?」

田村「2018年秋から冬あたりですかね。1年目は漫画やって食いつないで、今の事業モデルと戦略が決まってからはプロジェクト型で案件を取って少しずつ事業を大きくしていきました」

研究も事業も終わりがない、アカデミアにいながら事業をおこなう苦労 

久野「修士課程在籍中に起業し、結果的に事業をやりながら博士進学をする、という選択に至ったわけですが迷いなどはなかったんですか?」

中川「進学自体にあまり迷いはなかったです。元々博士進学にすごくこだわっていたわけではないのですが、学部や修士での研究で得たことは大きかったですし、博士号を取ることで一つ区切りというかやりきりたかったというのが大きいですね」

久野「研究と事業とを両立するために、どのような工夫をしていましたか?」

中川「ここは人によってかなり違うかなと思うのですが、創業者/役員はフルタイム以上に働いていたので、平日日中仕事して夜や土日を研究に費やしたり、論文投稿前は優先度とメリハリをつけて取り組んでいました」

久野「博士号取るまでで 一番しんどかった時期と、その時の思い出について聞かせてください」

中川「常に忙しかったですが、研究も事業も終わりがない、というのでしんどく感じた時期はあります。研究も事業も、やればやるほどできることがありますし、追い込まれてるときに自分で折り合いをつけつつ続けるのは大変でしたが、振り返ってみるといい思い出になってるなと感じます」

田村「個人的に一番しんどかったのは、博論提出前です。夏休みの3日間で60時間近く起き続け、トータル150ページくらい書いてなんとか提出に間に合わせました。普段は健康に意識をしていますが、あの時期だけは常にコーヒーを口を含んでいましたね笑」

小林「私は博士学生向けの時短正社員の制度を使っており、フルタイムの方の4分の3の稼働時間で働いたので二人と比較すると楽だったと思います。時間の配分としては週3日働いて、週2-4日研究して、残りを休みに当てていました。一番しんどかった時期は予備審査前の1ヶ月間で、審査に向けての準備をしつつ仕事もしないといけないのがきつかったですね。ただ連続で起きている時間は最大18時間くらいでした笑」

久野「ハードな生活だったのかなと思いますが、学生やめようとは思うことはなかったですか?」

田村「あまり思わなかったですね。確かに脳内リソースを研究じゃなくて事業に使いたいな〜と思うことはありましたが、最初から事業も研究もやらないといけないということを覚悟して入ってはいるので、やめるとはならなかったですね」

久野「研究室や周りの環境もよかったのかもしれませんね。松尾研は起業されてる方も多く、新しいチャレンジを応援する雰囲気が強いですし背中を押してくれる人たちも自然と周りに集まって来やすいように見受けました」

中川「そうですね。私も局所的に大変な時はありましたが、自分で決めた道ですし、会社としてもアカデミアの価値を社会に繋げたいという思いが強くあるので、旗振り役じゃないですが姿勢を示す上でもやりきれてよかったです」

研究も事業も本質的な部分は近い、双方の相乗効果とは?

久野「逆に楽しかった思い出や、アカデミアにいてよかったなと思うことはありますか?」

中川「アルゴリズム事業の発端自体がアカデミアにあるので、アカデミアと常に接点を持ちながら事業をできるのはネットワークの面でも、学術的な知のキャッチアップという点でもよかったなと思います。あとは研究の成果が出ると素直に嬉しい、という気持ちもありますね笑」

小林研究と仕事の間で、相乗効果があったのがよかったです。研究で学んだ検証の回し方、課題の見つけ方、ドキュメンテーション能力など、技術的な部分に限らず研究の考え方は仕事に活かせました。また、時間のマネジメントの仕方、特にリソースが有限な中でいかにアウトプットを最大化するか、については仕事を通じて学び研究にも活かせたと感じますし、相互にポジティブな影響を与えられました」

久野「いまの小林さんの話にも通じますが、研究をしながら事業をやる意味/意義とはなんだと思いますか?」

田村研究も起業も、いかに早く仮説検証を回して新しい価値を世の中に生み出すか、という点は同じだと思っています。小林さんが言ってくれたように、研究にしろ事業にしろ、仮説を立てて検証を回すという経験を積み重ねることで両者に相乗的な効果が与えられるのは意義があることだと思います。

また日本の社会の状況としては、博士課程の人たちはとても優秀なのに彼/彼女らが活躍できる場を用意できておらずとてももったいないと感じています。逆に言えば、超優秀な人材と技術を新しい価値につなげていく場を我々が用意することで、社会にとっても価値を生み出しますし、事業と研究を個人という切り口のみならず会社という切り口でつなげていくことには大きな意味を感じています」

久野「博士号取った後のキャリアって、民間に行くかアカデミアに残るかの二元論で語られることが多いように感じますが、実は根底にあるものは同じというか、両者の相性は必ずしも悪くはないんじゃないかなと思いました」

中川「そうですね、お互いつながっているし、それぞれが双方に対してもいい影響を与えられると思います。例えば専門的な知識、論理的な思考力、研究の価値を発信するスキルは事業をやる上でも重要ですし、逆に事業や社会の中で新しい課題を見つけたり、経済的な価値につなげる方法などを学ぶことで研究に新たな視点や問題意識を持たせることができると思います」

久野「最後に、今後のそれぞれの目標を聞かせてください」

小林「無事博士が取れると確定したので一安心といったところですが、ドクターを単なる称号とせず、持ってることに見合う人間として頑張っていきたいです」

田村「学歴自体は本質的なものではないので、より知的なプロセスを大事にしていきたいですね。あと、これは野望なのですが、研究をより事業に近いところで回せるようにしたいというか、研究開発の回転をどんどん上げていきたいと考えています。AIは領域的にもスピードが出やすく、現在3ヶ月単位でOKRを設定していますが、より事業に近いところでもっと早く回転させるべく研究能力の高い人をどんどん採用していきたいです」

中川「個人としては事業によりフォーカスを当てていくというのと、博士や事業との両立に興味がある人を巻き込んでいきたいので、少しでも興味がある方はお気軽にご連絡ください」

3月9日に、ACES初のオンラインmeet upを開催予定です!博士課程に在籍しながら働くアルゴリズムエンジニアも話す予定なので、奮ってご参加ください↓

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