博士課程に在籍しながら働くということ、研究と実務を両立するには?
こんにちは、ACESの久野(@nokuuun)です。ここでは、ACESのメンバーの”声”を伝えるPodcast『Voice of ACES』の第一回目の内容をお伝えします。
Podcastをはじめる理由
『Voice of ACES』は、番組名の通りACESの中の人たちの”声”を届けよう、という試みの番組です。
ACESは画像認識を始めとするAIを用い、クライアントさんとのプロジェクトや自社プロダクトを通して産業現場のDXを行っている会社です。
おかげさまで、少しずつ社名や事業を知っていただいている方が増えている一方、AIをコアにした事業はまだまだ新しく、AIやITに親しみの深い方以外にはなかなかイメージが湧きにくいのではないでしょうか?また、会社の理解を深める上で、抽象的な概念やメタ的な捉え方が必要になるため、テキストメッセージや図/スライドだけで伝わりにくいこともあるかと思います。
こうした事情もあり、わかりやすく言語化していこうという姿勢は常に持ちつつも、暫定的なアイディアや今感じている思いなどを”声”というメディアを通じ、実験的に発信していこうと考えています!
博士課程に在籍しながら働くメンバーの紹介
では早速、本題に入りましょう。記念すべき第一回目は、博士課程に在籍しながら働いているアルゴリズムエンジニア3人と筆者とのディスカッションの模様をお届けします。
・各メンバーの研究的バックグラウンドと、ACESでの業務内容
・研究が実務にどう活きているか
・逆に、実務が研究にどう活きているか
などをざっくばらんにお話しています。(*本記事は、Podcastの書き起こしではなく、内容を読みやすくまとめ直したものになりますので、音声上の表現とは異なる部分がございます。)
■プロフィール
小林:東京大学大学院新領域創成科学研究科D3 歪みセンサを活用した構造物のモニタリングを研究(Meetyはこちら)
市川:東京大学大学院総合文化研究科D2 計算論的神経科学が専門
鈴木:東京理科大学大学院D2 Deep Learningを使った、画像を対象とした異常検知を研究
(※ 2021年9月時点)
入社のきっかけ
久野「3人のうち、一番の古株は市川くんですかね?いつ入社ですか?」
市川「そうですね、2018年に共同創業者の與島さんに誘ってもらって、インターンとして入社しました。2020年10月からは、*時短正社員として働いています!」
久野「時短正社員制度について補足しておくと、ACESでは主に博士課程学生向きに、大学での学術的な研究と、ACESでの実務/実践を両立しやすくする仕組みとして、フルタイムの方の75%くらいの稼働時間で働いていただける制度を設けています、社会保険制度はもちろん、SO(ストックオプション)とかボーナスも社員と同等の権利を付与してます。市川さんと小林さんが正社員になろうと思ったのはどういう理由からですか?」
小林「もともとインターンで働いていて、正社員のオファーをもらったのが契機となりました。インターンだと時間の都合で手が出せなかったところもできるようになりました。あとストックオプションや制度の部分でインターンより手厚くしてもらえるのが魅力的だなと」
市川「僕は、将来自分がどうありたいかについて、大学院入学時から考えてたんです。アカデミア一本にするかどうか、あるいはアカデミアで培った力で日本の社会に貢献できないか、とか。考えた結果、社会と接点を持てる形でかつ博士課程で研究を続けるのがいいのではと思って入社を決めました」
研究と実務のバランス、具体的な業務内容について
久野「みなさん日々お忙しいと思うのですが、研究と実務どんな割合で取り組んでますか?」
市川「もちろん時期にもよるのですが、時間配分が半々くらいになるように調整しています」
久野「オン・オフの切り替えが難しいこともあるかと思いますが、息抜きとかどうされてますか?」
市川「僕はサウナが好きなので、夜疲れたなという時に行って、整ってから寝ています。最近はサウナ部も発足して月イチでサウナにいく会を開催しているので、何人かサウナ沼に引きずり込んでます笑」
鈴木「僕は演劇が趣味なので、朗読やったり普段とは別のところに力を注いで息抜きしています」
久野「続いてみなさんがACESでされている業務について教えてください。小林さんはどういった業務をされてるんですか?」
小林「DXのプロジェクトにアサインされて、その中でエンジニアリングしています。クライアントさんから頂いたデータを機械学習等かけて分析して知見を得るとか、価値を生み出すモデルを作っています。より具体的には、介護者さんの負担を軽減するようなシステムを作る目的でDeep Learningのモデルをチューニングしたり、建設業に取り組む方の安全を見守るための技術を開発しています」
市川「僕もプロジェクトのエンジニアとして働いていて、最近だと眼鏡のZoffさんとAIを用いて購買体験をアップデートしていこうというプロジェクトをやっています。」(Zoffさんとのプレスリリースはこちら)
「研究やっててよかった!」実務に役立ったこと
久野「研究と実務の両方やってらっしゃいますが、普段の研究が実務で活きることはありますか?」
市川「研究で培われた『課題を見つける』あるいは『探索する』スキルは実務に活きていると感じます。例えば、お客さんが本当に解決したい課題が何か、実験がうまく行かない時に何が問題になっているのか、に対してしっかりアプローチしていく力になります」
小林「プロジェクトも(研究ほどではないにしても)不確実性が高く、やってみないとわからないことや、やってみて初めてわかることがあります。限られた期間の中でたくさん仮説検証をして、いい結果が得られるまで粘り強くやり続ける姿勢は、研究で培われたと思います」
久野「プロジェクトのエンジニアをしてるみなさんは現場に行ったり商談に出ることも多い印象です!」
市川「そうですね、1人で提案に行くことはないですが、お客様から直接ヒアリングさせていただくことは多いです」
「逆に、実務やっててよかった!」研究に役立ったこと
久野「逆に実務の経験が生きていることはなんでしょうか?」
鈴木「研究の対象は、公開されているきれいなデータセットが前提になってくる一方で、実務はきれいなデータセットがもらえるわけではないんですね。そのため、まずはデータセットの特性を理解するというところからはじまります。実際の研究ベースのDeep Learningにおいてもそういった視点を持つことはポジティブに働くのではないかと思います」
久野「研究って1人で進める場合が多い一方で、実務においてはチームで進めることが多いですよ」
鈴木「そうですね、私は研究は1人でやることが多いのですが、実務では複数人で働くのでコードをきれいに書くとか積極的にコミュニケーションを取ることが大事になります」
小林「人に見せるためのドキュメント作成は実務で身につきました。時間管理とかも、働いていると身につくかなと思います。研究だと好きに時間が使えてしまうので、ダラダラと気になるところからはじめる、となりがちなんですが、実務は時間が限られているのでどこがクリティカルな問題か見定めるなど、効率的な時間の使い方が身につくと思います。」
将来の展望(野望?)
久野「最後に、将来的な展望について教えて下さい」
市川「まずはしっかり博士号を取れるよう、研究を頑張っていきたいです。また、代表の田村もnoteに書いてたように日本の博士課程の学生が軽んじられてると思っています。そこを変えていきたい、博士とった人の底力見せつけてやるぜ!という気持ちがあります」
鈴木「大層なこと言えないけど、どちらかといえば実務より研究の分野でやっていきたいです。研究においては、ある種実務よりな関わり方とか、実務的なDeep Learningはどういう観点でやっていくかという視点が失われていくと思うので、今のうちに実務の現場でそういうものを自分に刻んでからアカデミックキャリアに進んでいこうと思います」
小林「目下の目標は博士号取りにいきたいです。その先という話でいうと、ガチガチのアカデミアというよりは、社会実装に興味があるので今の働き方はマッチしていると思います。最近はマネジメントとかチームでどう開発するか、ということも考えるようになってきて、将来的にはあいつがいればプロジェクトは大丈夫!と思ってもらえるようになりたいですね」
ACESでは積極的に採用を行っています!
ACESでは、積極的に採用を行っています。ACESに興味をもっていただいた方がいらっしゃいましたら、お気軽にご連絡下さい!
今回Podcastで話してくれた小林さんとは、(彼が研究/実務で忙しくない時期であれば)Meety経由でお話しすることが可能です!
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